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  冥香作・「短文No,1,2」
 
 
 短文No,1
 
 
 変わってゆくことに、恐怖は伴わない。
 
 終ることがないとさえ思われた苦しみから解放されることへの、安堵……あるいは、彼にそう思い込ませるために巧みに仕組まれた何かが、男を捕らえる。
 
 抵抗らしい抵抗もなしに人であることを棄てた彼はしかし、決して棄て去ることの赦されぬ記憶を、異形となり果てた我が身に刻もうと、牙口を喘がせた。
 
 「……セ、……セル、ジュ……」
 
 牙口から零れたとき、言葉は憎しみの破片となって、闇に溶けた。
 
 男はその言葉を、愛を込めて放ったはずだったのに。
 
 
 。。。。
 いつまでも「棒」では寂しいので、まずは一枝挿してみました(笑)
 
 お絵描き板のほうで描かせていただいたヤマネコの絵に付けた、即興SSの直しです。
 
 ……と、こんな感じで、少しづつ少しづつ増やしていきたいと思います。
 よろしく。
 
 
 短文No,2
 
 
 それが初めに聴いたのは声。
 
 うっかり傷つけて、失くしてしまうことのないよう、厳重に封印したはずの記憶を呼び覚ます、懐かしい声。
 
 時が……、至った?
 
 百年も昔に動くことをやめてしまった大きな身体を、声の主たちは苦労しながら運ぼうとしているらしい。
 
 目を……、開かなくては。
 
 自分が「開く」形状の眼を持たぬことを、それは知っていたが、そんなことは関係なかった。
 
 それ……いや、「彼」は、目を開いた。
 
 泣き笑いの顔でこちらを見ているのは、遥かな記憶と寸分違わぬ姿のままの少女。
 
 「お疲れさま。……遅くなって、ごめんね。……ロボ」
 
 震える言葉を紡ぎながら、彼女は血の通ったものにするように、彼の鋼の手を擦った。
 
 
 。。。。。。
 こんにちは。二本目の枝を挿しにまいりました。
 自分のなかで、ロボは魔王様に次ぐ印象的なエピソードの多いキャラとなっております。
 彼のお話もいっぱい書いていけたらいいなと思っておりますが、
 ……彼の背景にあるものの「重さ」は、魔王様のそれに匹敵するのも事実でして、それをかたちにするのは、なかなかたいへんであります;;
 では、これにて。
 
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