クロノプロジェクト正式連載版

 CPを毎週ご覧くださっている皆様、CPも遂に50週を迎えクロノ達も新しい時代
のステージに辿り着きました。ご覧になっている皆様の中にはCPは「トリガーとクロ
スの間の物語」と思っている方も多いかと思いますが、この物語はそれらすべてを含め
たシリーズの続編として作られています。
 今後クロノプロジェクトとして作ってきた新しい時代を舞台にクロノ達が様々な出会
いと別れを経験し、多くの困難と立ち向かう姿が描かれてゆくことになります。その中
にはとても見ていて辛いというシーンもあるかもしれません。しかし、それらも長い冒
険の中で様々な意味を持って彼らに様々な道を示すこととなります。
 今までは感想のメールにて作者として答えられる範囲で答えてきましたが、読者とし
て様々な感想を伝えてくださることはありがたいですが、私の立場上物語の今後の内容
に関わることは話すことができません。ですが、様々な物語の出来事の中には納得しか
ねる内容も確かに有るでしょうし、憤りをぶつけたくもなるかもしれません。しかし、
物語には続きがあり、それらの問題も多くの出来事の中で解決されてゆきます。今後私
は物語の内容についての返答はいたしません。様々な思いはあるかと思いますが、続き
をご覧の上で答えを探してみてください。
 それとは別に感想についてはお話できる範囲で返答は今後とも致します。
 では、シーズン1もあと30話となりましたが、今後ともよろしくお願いします。

 

第50話「激動の近未来」
 
 
 チョの開いたゲートを抜けると、そこもガルディアの森の中だった。
 外は明るく、日の傾きから午後だろうと推測できる。
 
 
「みんな無事か?」
「えぇ。」
「そんな大袈裟な。大丈夫よ。」
「ポー。」
 
 
 クロノは全員の無事を確認すると、辺りを見回した。
 
 
「それにしても、ここは同じガルディアの森なのか…?」
 
 
 見た限りでは単なる森の様にも思われた。
 気温は肌寒い気はするが、そう耐えられない寒さではない。きょろきょろと見回し
ていると、不意にポチョが目に入った。ポチョは何やら耳をピクピクさせて南の方角
を見つめている。シズクも気付いたらしく、それを見てポチョに問いかける。
 
 
「どうしたの?」
「ポー!」
「え?」
 
 
 シズクがポチョの見る方角を見る。すると何かの機械の様な物が近付いてくる音が
する。近づくにつれて振動も伝わっている様だ。
 
 
「エンジン音…どうやら結構進んでいるみたいよ。」
「…そうなのか?とにかく森を出よう。」
「えぇ。」
 
 
 3人は森をトルースに向かって歩き始める。すると森はすぐに消え、前方に広がる
のは見たことも無い鉄の道の上を、これまた見たことも無い機械が走る姿だった。
 2人が驚いて指を指してシズクに問う。
 
 
「何これ!?…」
「なんなんだー!?」
「これは機●●…」

 
 
 ガタンガタン!ガタンガタン!!!
 
 
「はぁ!?」
「えー?なんて言ったのぉ〜!」
「だから、●関●!!!」

 
 
 ガタンガタン!ガタンガタン!!!
 
 
「聞こえないよぉー!」
 
 
 あまりの音の大きさに、3人の会話はしばらく成り立たなかった。
 機械が街の方角へ通り過ぎた後、静けさが辺りを包む。
 
 
ふぅ、やっと行ったぜ。で、なんて言ったんだ?」
 
 
 クロノの問いに、シズクは半ば疲れた様に言った。
 
 
「…あれは機関車よ。」
「機関車?」
「えぇ、機関車と言って、あれに乗れば、この線路が続く場所へなら何処へでも行け
 るの。」
マジ!?…すげー。オレ達の時代には無かった。」
 
 
 そこにマールがシズクに聞いた。
 
 
「でも、景色はそんなに変わってないのかなぁ?未来?」
 
 
 シズクはしばし悩んだ様な困った表情で考えると説明を始めた。
 
 
「うーん、そうね。こうなるとは限らないけれど、私達が見るかも知れない可能性の
 一つの未来だわ。覚えていて欲しいのは、私達が見ている時代は既に私達とは関係
 が途切れてしまっていること。だから、仮に私達が見知った歴史であっても、歴史
 は必ずしもその通りの動きは見せないの。」
「それはわかるわ。私達が現にラヴォスを倒したわ?」
「ラヴォスとは未来を破壊する怪物のことね?驚いた!あの怪物をあなた達が倒した
 というの?」
「えぇ。」
 
 
 マールの答えにシズクは目を丸くして驚いた。
 
 
ホント!?凄い!そうね、怪物が倒された未来の上に築かれている
 のが今の私達のいる時代ね。でも、歴史は結果のみしか保存しないの。
 だから、例えばラヴォスを倒したという事実もプロセスは保存されない
 から、クロノ達が倒したという事実は残るとは限らないの。
えぇ!?それって、例えばシズクが倒したってことも有り得るってこ
 とでしょう?」

「そうね。でも私は倒してないよ。ポチョもね。」
「ポー。」
 
 二人のやりとりを聴いて話がそれているようなので、クロノが言った。
 
「…で、ここは王国暦千年から何年くらい未来なんだ?」
「そこまではわからない。トルースへ行ってみましょう?街で調べればすぐにわかる
 と思うわ。」
「そうね!行こう!」
 
 
 3人は線路沿いの街道を街の方角へ歩いて行った。
 
 
 
 トル−ス市街入り口
 
 
 
「…すげぇ。」
「…ホントにここ、トルース?」

 
 
 二人は呆然とした。
 それは彼等が見知っているトルースとは桁違いに変化していた。線路沿いを歩いて
きた彼等は、次第に市街化する町の姿を見つつ進んできた。
 町は昔よりも海沿いに展開し、大きな港には沢山の船が行き交い、通りには自動車
や自転車で走る人々の姿があり、さすがに未来でとてつもないものを見知っている彼
等でも、この昔から馴染んでいたトルースの変化のしようには驚かざるを得なかった。
 シズクが辺りをキョロキョロ見ている。何か見つけたようだ。
 
 
「あ、あった!」
 
 
 シズクはそう言うと1人で走って行く。
 
 
「あ、待ってよ!」
 
 
 2人もシズクの後を追う。すると、その先には新聞を売る露天商の姿があり、そこ
でシズクは止ると新聞を眺めていた。
 
 
「どうしたんだ?新聞なんて?」
「あ、ねぇ、お金持ってる?5G!」
「あ?金?あぁ、少しなら持ってるが、使えるのか?」
「ちょっと見せて?」
「あぁ。」
 
 
 クロノはシズクに100G金貨を渡した。
 
 
「おじさん、コレ使える?」
「あぁ、使えるも何もガルディアコインじゃねぇか。玩具じゃねーんだから使えるに
 決まってるだろ〜。はいよ、確かに受け取ったよ。あい、お釣。ありがとうね。」
「どうも!」
 
 
 3人は新聞を一部買い、店を離れた。そして近くの路地に入り立ち止まり話し
はじめる。
 
 
「今日は連邦歴20年4月1日だそうよ。」
「連邦歴?」
「どういうこと?つまり、これは私達の未来よね?ってことは…、パレポリがそのま
 ま統治しているということ…よね?」
「…そうね。そう考えて間違い無いと思うわ。」
「おいおい、待ってくれ。じゃぁ、連邦歴20年ってのは、王国歴に直
 すと何年なんだ?」

「ちょっとまって、私もすぐにそこまでは…」
 
 
 シズクが必死に新聞を読んでいる。
 
 
「う〜ん、あ、コレ!コレみて!」
「ん?」

 
 
 
 新聞記事にはこうあった。
 
 
 
 
 …今日は古き王朝の圧政から解放された解放記念日であり、我が連邦が成立した建
 国記念日。しかし、昨今はそれも過去の話と商売に熱が上がるガルディア市民。
  だが、平和無くして商売はできないことを説いた総統閣下の言葉を胸に刻み、王
 朝時代が如何に酷いものであったかを後世に伝えて行くことは、ジャーナリストの
 とても重要な使命である。我々ジャーナ…
 
 
 
 
「…リストは、その任を今年も全うするのみである。」
 
 
 シズクが読み終えると、クロノは苦り言った。
 
 
「ひでぇ文だな。笑えもしねぇよ。」
「ホントね。でも、これでおおよその推測はついたわ。クロノ達がいた時代は100
 5年よね?」
「えぇ。」
「だとすれば、この文からすると、仮にその日を境に王国が崩壊したと考えた場合、
 この文は崩壊と同じ日が連邦の成立時期だと言っているから、1005年から10
 06年頃の20年後…つまり、1025〜6年って所かしら。」
「…そんな…。」
「…」

 
 
 その言葉にマールは強くショックを受けた。クロノが察してマールを抱き寄せる。
シズクはそんな二人を心配そうに見ているしかなかった。
 そこにクロノが二人に言った。
 
 
「気にするなよ。マールもな。」
「…えぇ。わかってる。」
 
 
 マールがそう答えると、シズクも少しの間を置いて言った。
 
 
「…複雑ね。でも、この歴史の結果は全く同じにはならないのよ。きっと幸せな二人
 もいるわ。」
「…あぁ。」
 
 
 3人は街中をふらふらと歩き繁華街を目指した。

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 お読み頂きありがとうございます。
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が、ご意見などでも結構です。今後の制作に役立てて行ければと考えております。
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